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武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之八


礼法 四

師範に対する座礼

師範に正対し着座したら姿勢を正し、心を落ち着けます。
左手に持った刀を体の正面、刃を我に向け膝から一尺の処へ鐺を着け垂直に立てます。
左手で握っている辺りに右手を添え、下緒ごと右手に持ち替えます。
この時、左手では親指を刃側の鍔に掛けていましたが、右手の時は人差し指を差裏側の鍔に掛けます。
下緒は輪の中に右手の中指から小指を差し込んで握ることで輪を保ったまま、刀を我の右脇に、刃を自分に向け、柄頭を前方へ向けて置きます。
鍔は両膝の線に平行、刀の下に袴の裾が入った場合はそっと裾を抜いておきます。
この鍔の位置、裾を抜く事には武的な理合が口伝されており、膝の位置は後ろから鐺を掴まれ刀を引かれた際に、膝で鍔を押さえる事で刀身を奪われない用心、裾を刀に敷かない事は不意に襲われ飛び退った時に刀が転がって身から離れてしまわない用心とされています。

刀を右脇に置いたら一度姿勢を正し、師の礼に呼吸を合わせて礼を行います。
まず左手、右手の順で床に手を着き、両手の人差し指と親指同士を接して三角形を作ります。
この三角形に鼻が入るように、両肱が床に着くまで頭を下げます。
この時、首や背中を丸めて礼をするのではなく、腰から折り、背筋は伸ばします。
また、叩頭するのではなく首筋を伸ばし、床と平行とします。
この三角や肱の着き方、首の垂れ方にも武的な理合としていくつか口伝があります。
三角に鼻を入れて肱を着く事で、後ろから頭を押さえられたり踏みつけられた際、顔面を床に打ち付けず踏ん張る構えである事、頭を床と水平に浮かせておく事で刃圏の視野を確保し、踏み込んでくる敵の足先を察知できる事を理合としています。

師が直る気配に合わせ、肱を伸ばし頭を上げ、先程と逆の順序で右手、左手と太腿の上へ戻し、姿勢を正します。


无拍
2022年10月26日 初出
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