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武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之六


礼法 二

立姿勢

彼我の挨拶は道場としてのルールというより、一般常識です。
そのうえで入場時、作法としてはまず道場に入る時に一礼して、場内に入ります。
この際、右足から踏み込みます。
あいにく師よりこの理由は伝えられていませんが、殿中の礼法であった伊勢流に拠る利き足から立てる事、現代武道一般の通例、清田泰山師が戦前戦後を通し軍人であった事など、いくつか想像は出来ます。

退場の際は一礼後、左足から下がるとし、本来は上座に対し影の足から下がるという作法を師から伝えられています。
これは現行の居合では浮雲、戸詰、行連、信夫など、正面に対し我が左側を見せて業が終わる場合、影になる右足から下がる所作として伝えています。

稽古着を着装し、刀を携えて稽古前の礼法に入りますが、その前に基本の姿勢について記します。

まず基本となる姿勢は、左手に刀を持った直立から始めます。
この時、下緒はただ漫然と垂らしているのではなく、次の様に始末する作法が伝えられています。
刀は先述のように刃を上にし、栗形と鯉口の間を左手に持ち、右手で下緒の端を摘みます。
柄頭を上に刀を縦に持ち、鞘を握っている左手の中指、薬指、小指の三本を伸ばし、右手で摘まんだ下緒を左手の伸ばした中指の外側から掛け、栗形から左手に掛けて垂れ下がった下緒の輪の中に、下緒を摘まんだ右手を手刀のように引き下ろすことで下緒を三つ折りにし、左手の中指、薬指、小指で下緒と鞘を一緒に握りこみます。
左手の中指、薬指、小指で下緒の輪を握った形になり、小指側から余った端が下がった状態になります。
垂れた下緒の端が、輪からはみ出ないようするのが良い始末でしょう。

これが当会の直系である二十一代福井聖山師の捌き方ですが、次代以降の系譜の道場では、外側から中指に掛けた下緒を中指と薬指の間から垂らし、中指のみで握り込む方法を採っている処もあるようです。
これもどちらかが正しくて、どちらかが間違っているというものではなく、それぞれの所作を以て稽古と為せばよいものと考えます。

当会に伝わる師傳の直立姿勢は踵を揃え、爪先は軽く開きます。
下緒を輪にして持った刀を左腰に添え、右手は鷲の爪に軽く握り右腰に添え、手首の内側を軽く太腿に触れた姿勢が基本の立ち姿になります。


无拍
2022年10月10日 初出
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