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無雙直傳英信流視点における刀についての私見 其之九


長々と考察してきましたが、現在武道具メーカーから居合練習刀として販売されている模擬刀は、当会の考える現代居合道の稽古に適する条件をほぼ満たしたものが製作されています。
当会の初心稽古に限定しての観点で述べれば、初心のうちは居合練習刀で十分であり、また益有りと考えます。

真剣は本来殺傷能力抜群の兵器であり、取扱いに習熟していなければ自他を危険に晒す為、初心者はまず模擬刀(これですら斬突可能ですが)で刀の扱いを覚えるべきです。
さらに真剣は我々の先祖の時代から数々の人手によって手入れされ、受け継ぎ、残されたものであって、今所有者である人は一時的な所有者であり、いずれは次の人に託し残して往かなければならないものと考えます。
真剣は扱いを知らなければ容易に傷み、錆朽ちてしまう繊細な美術品でもあるため、この観点からも初心者は模擬刀での稽古が好ましいと思います。

居合練習刀を選ぶ際に注意しなければならないのは、コスプレや装飾、御土産用に販売されている見た目のみを重視して作られた模造刀です。
これらは強度の点で非常に危険な物も多く、絶対に振ってはいけません。
厄介なことに、これらは現物を手に取ることが出来ないネット等では「居合刀」と冠されて販売されている場合が多くみられます。
居合練習刀は、少なくとも武道具店などの専門店での購入をお勧めします。
ただし専門メーカーの練習刀でも各社反りや重心に違いがあり、また先述のとおり流派によってある程度長短の傾向はあるので、まずは道場の先生に相談するのが間違いないでしょう。

この私見の初稿で述べたとおり、本来真剣においては一振りとして同じものは無く、それぞれ個性をもっています。
当会に限り強いて云えば、当流で常寸と云われる二尺三寸五分、二十代宗家の規定する柄八寸を凡その目安とし、そのうえで各個人の体格に見合う体配であれば、自分の好みにあった個性の刀がその人の居合に適した刀であると考えます。
さらに居合を武術として稽えるのであれば、どのような得物も最大限の能力を引き出すのが居合であり、全ての刀は稽古に適するものとして相対すべきが居合であるとかんがえるものです。

長くなりましたが、「無雙直傳英信流における刀についての私見」を終わります。


无拍
2020年4月20日 初出
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