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無雙直傳英信流視点における刀についての私見 其之二


居合の稽古に適した刀とはどういうものでしょうか。

単に居合といっても多様な流派があり、それぞれ特徴があります。
例えば当流 無雙直傳英信流で免許状として昭和初期頃まで発行されていたと思われる「居合根元之巻」では、源流である林崎甚助公は三尺三寸の太刀を遣ったと伝えられており、林崎源流から生まれた神夢想林崎流、林崎夢想流、古田宮流なども長刀を使ったようです。

一説に林崎甚助公は、お互いに帯刀した状態での接近戦において、当然有利な脇差を差した打太刀に対し、抜き辛い長い刀を差した仕太刀が、対手に接触した状態から打太刀を制する近接戦闘の業を工夫したといわれています。

互に抜刀し、ある程度の間合をもって対峙した状態であれば、幕末の大石進の例もあるように、一般的には得物は対手より長い方が有利です。
その長刀の弱点とは納刀の状態からの近接戦闘であり、戦闘技術は一般的に接近戦になるほど高等技術となっていきます。

近接戦闘で双方納刀の状態であれば単純に短い刀のほうが早く抜き付けることが出来、運剣も容易です。
これを敢えて長刀で克服することで、長刀の利を最大限に引き出すことも出来、また常寸ならばなお自在に扱えることを稽えた流儀であったとも考えられます。

長い刀を使って、敵の刃圏の外から一方的に切るような単純な流儀ではありません。

このような流派の稽古に適した刀とは、やはり短い刀より長い刀ということになります。
では当会の稽古する無雙直傳英信流においては如何や、を考えたいと思います。


无拍 
2019年8月4日 初出
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